投稿日:2013年05月27日
祖母の実家は首里にあり当時の戸主、久田友栄氏は野村流古典音楽の大家であった。
また祖母の弟にあたる。
盆暮れにはお香小うさぎーが(ご先祖様にお香を捧げに)出かけた。
夕暮れ時の柔らかな光の中で、いい年になった姉と弟(祖母と久田氏)が差し向かいで話している。
姉:「今日や四時に間に合-すんち、慌てぃてぃ来ょーさ。」(今日は四時に間に合わそうとして大慌てで来たよ)
弟:「ぬーが、ぬーんち?」(どうして?)
姉:「ぐそうぬ人や、太陽ぬ暮りーねー、皆帰-いんでぃ」
(あの世の人は陽が暮れたら皆帰るそうだから。)
弟:「ぬーが、うんじょーやゆう知っちょーる。ぐそーんでーん見-ちるちー。」
(なんでそんなによく知ってるの、あの世でも見てきたのか?)
弟はからかっているのだが姉のほうは至って真面目に
姉:「見ーちゃる訳やあらんしが、皆あんしー、言いしぇー。」
(見てきた訳ではないけど、皆そう言うでしょ。)
弟:「やみ、皆見ーちちょーしが我達二人わからんばーやさやー。」
(そうか、皆は見てきたんだがわしら二人だけ分からなかったんだな。)
と問い詰めても
姉:「あんすぐとぅや~。」
(だからね~。)
弟:「我んにん、あまくまぐそうかめーてぃ歩っちょーしが、まーかめーてぃん、ぐそうんでぃいーるむのーねーらんたん。・・・・」と澄ました顔。
(僕もあっちこっちあの世を探してみたがどこをさがしてもあの世はなかったな。)
禅問答というのを聞いたことはないが、こんなものかな?・・・。